ほとんどの格安SIMはドコモやauといった大手キャリアより通信速度は遅いです。
しかし「格安SIMはキャリアより遅い」といっても、具体的にどんなスマホの使い方をする場合に遅く感じるのか?がハッキリしないため、分かりにくく感じる人も多いのではないでしょうか?
自分がよく使うアプリやサービスが快適に動作する通信速度はどれくらいか?を一番知りたいですよね。
そこで今回の記事では、スマホでよく利用されるサービス・アプリを快適に使用するのに必要な通信速度の目安を、具体的に明らかにします!
ほなみ
通信速度の目安
当サイトでは以下のように通信速度の分類と目安を定めています。
速度 | 数値 | 使い心地 |
低速 | 1kbps~499kbps | バースト機能がないと明らかに遅さを感じる |
中速 | 500kbps~1Mbps | 画像や動画などが多いところで重さを感じる |
中高速 | 1Mbps~4Mbps | 遅さはほとんど感じない |
高速 | 5Mbps~ | 遅さは感じず、安心感がある |
上記の基準で「Web」や「ゲーム」といった用途ごとに、それぞれの速度で読み込みにどのくらい時間がかかるか?を計測し、結果をまとめてみました。
用途別の速さ目安
今回、使い勝手を試してみた用途と、用途別の時間目安に使った項目は以下の通りです。
- Web:Yahooのトップページ
- YouTube:HUAWEI P20 ProのCM(画質480p、再生開始までの時間)
- LINE:LINEのトーク
- SNS:Twitter公式アプリ(最新ツイートを読み込むまでの時間)
- 地図アプリ:Google Map(検索して実際に表示されるまでの時間)
- ゲーム:モンスターストライク(タイトル画面からメイン画面まで遷移する時間)
- 低速:OCNモバイルONEの低速モード
- 中速:楽天モバイル(お昼)
- 中高速:楽天モバイル(お昼以外)
- 高速:LINEモバイルのソフトバンク回線(お昼以外)
条件によって速度は変わります。
低速 | 中速 | 中高速 | 高速 | |
---|---|---|---|---|
Web | △ (6~10秒) |
○ (4~7秒) |
◎ (2秒) |
◎ (1~2秒) |
YouTube (中画質) |
× (10秒以上) |
○ (4~5秒) |
◎ (2~3秒) |
◎ (1~2秒) |
LINE | ○ (1~2秒) |
◎ (1秒) |
◎ (1秒) |
◎ (1秒) |
SNS | △ (4~10秒) |
○ (2~3秒) |
◎ (1~2秒) |
◎ (1秒) |
IP電話 | △ | ○ | ◎ | ◎ |
地図 | △ (8~10秒) |
○ (3~5秒) |
○ (3~5秒) |
◎ (1~2秒) |
ゲーム | △ (10秒) |
○ (8~9秒) |
○ (8~9秒) |
○ (7~8秒) |
上記の表から、次のようなことが言えます。
- 低速通信でも出来ることは多いが快適ではない
- 中速なら大抵のことが普通に使える
- 快適に使いたいなら中高速以上が必要
低速通信でも動画以外なら利用できるが時間はかかる
表を見ると、500kbps以下の低速通信でも動画以外ならある程度は利用できることが分かりますね。
LINEであれば低速でも快適でしたし、その他の用途も読み込みはやや長いですが利用できなくはないです。
ただし「利用できなくはない」というだけで快適とは言えません。
ゲームの場合、軽い2Dゲームはなんとか利用できますが、3Dゲームなど読み込むデータ量が多いゲームだとさらに時間がかかる可能性もあります。
SNSについても、テキストだけの投稿であればスムーズに読み込んでくれますが、画像や動画については読み込みが遅いです。
また、低速の場合は最初の読み込みだけ高速通信が使える「バースト機能」があるかどうかでかなり変わります。
バースト転送がない場合はWebブラウジングやSNSも厳しいでしょう。
低速ではロードの頻度が高い上に長いので、中画質で見るのは厳しそうです。
低画質であればロードはほぼなかったので、低速で動画を見るなら画質を落として見るのをおすすめします。
中速なら大抵のことが普通に使える
低速より少し速い中速(500kbps~1Mbps)であれば、たいていのことは普通に使えます。
LINEやSNSは快適ですし、動画も中画質であればあまりカクつくことなくスムーズに再生されます。
スマホを普通に使えれば良い、という程度なら最低でも中速以上の速度があれば良いでしょう。
ただ、中速でも動画や画像の読み込みは少し時間がかかることがあります。
動画視聴や、画像の多いウェブサイトも快適に読み込みたい場合は中速だと少し物足りない速さです。
たまに長めのロードが入りますが、短めの動画なら普通に見れそうです。
画質を下げればまったく問題なく動画再生できる通信速度です。
中高速以上ならほぼ快適、高画質な動画を見るなら高速以上を
中高速以上(1Mbps以上)であれば、ほとんどの用途を快適に利用できます。
中速でもたいていのことはできましたが、中高速以上なら読み込みがより短くなりスムーズです。
用途に限らず、ある程度スマホでデータ通信を快適に利用したい場合は最低でも中高速以上は欲しいですね。
さらに、
- 高画質な動画を視聴する
- 大容量のファイルをダウンロードする
- 地図アプリでサクサク検索したい
といった場合は高速以上の速度がでる格安SIMを利用する必要があります。
ただし常に高速以上の速度が出る格安SIMはあまり多くないため、ポケットWi-Fiを使うなどの工夫が必要です。
高速(4Mbps以上)でYouTubeの中画質動画を再生した様子がこちらです。
中高速も高速も動画が途中で止まることなく再生できました。
高画質の動画は中高速だとロードが挟まる可能性が高いので、高画質の動画を見たいのなら高速がおすすめです。
速さが安定した格安SIMを選ぶには?
どうせ格安SIMを使うなら、できるだけ速く安定したものを使いたいですよね。
しかし格安SIMは速さを犠牲にする代わりにコストを削減し、安い月額料金を実現しているため基本的に速度が不安定になります。
ここでは速さが安定した格安SIMの選び方や、格安SIMでも快適にデータ通信を行う方法を見ていきます。
大手キャリアのサブブランドを選ぶ
格安SIMは基本的に速度が遅いということですが、大手キャリアのサブブランドである「UQモバイル」と「Y!mobile」の2つは通信速度が非常に安定しています。
Y!mobileは自社でも回線設備を持っているため、厳密にはMVNOではなくドコモやauと同じキャリアと言ったほうが正しいです。
ただ料金的にはキャリアより安いので、キャリアと同じ使い勝手を維持しつつ、スマホ代を節約したい人に向いています。
一方、UQモバイルは自社回線を持たないMVNOです。
しかしKDDI傘下のUQコミュニケーションズが手掛けていることからauのサブブランドとして扱われています。
UQモバイルもY!mobileに引けを取らないほど通信速度が安定しており、平日のお昼など回線が混雑する時間帯も快適です。
この2社は普通の格安SIMより少し割高ですが、通信速度を重視するなら、まずこの2つどちらかを検討したいですね。
Y!mobileの詳細・公式
UQモバイルの詳細・公式
設備増強を積極的に行っている格安SIMを選ぶ
サブブランド以外で速度の安定している格安SIMを選ぶなら「設備増強をよく行っている格安SIM」がおすすめです。
同じ格安SIMでも利用者が増加すると回線が混雑して速度が遅くなります。
逆に、通信設備を増強することで速度は一時的に速くなります。
設備を増強して回線に余裕ができれば、通信速度が速くなるという計算です。
つまり、設備増強をしっかり行っている格安SIMほど通信速度が安定していると言えます。
数ある格安SIMのうち、
とくにIIJmioはサブブランドのように特別速いわけではありませんが極端に遅くなることも少ないため、安定性は高いです。
また、BIGLOBEモバイルとIIJmioではWi-Fiスポットが使える有料オプションも用意されています。
Wi-Fiスポットも使いたいという人はBIGLOBEモバイルかIIJmioがおすすめです。
mineoはバースト機能もあり使い勝手のいいMVNOです。
通信速度以外にもサービスが充実しているので、使いやすさを重視する人におすすめです。
電話をしないなら格安SIMとポケットWiFiの併用がお得
速度を重視するならキャリアが一番ですが、電話をあまり使わないならキャリアはおすすめではありません。
それでも「どうしても格安SIMの速度だと物足りない」という人は、格安SIMと「ポケットWi-Fi」を併用するのも1つの手です。
ポケットWi-Fiは格安SIMと比べると通信速度が速いですし、持ち運びできるので外出先でも利用できます。
ここでは例として「ドコモの30GBプラン」を契約する場合と、月額料金が安い格安SIMである「0 SIM」+ポケットWi-Fiの最大手である「UQ WiMAX」の無制限プランを契約する場合とで料金をシミュレーションしてみました。
月額料金 | 内訳 | |
ドコモ | 6,980円 |
|
0 SIM + WiMAX無制限 | 5,080円~ |
|
ドコモを利用するよりも0 SIM+WiMAXの無制限プランを契約するほうが毎月1,900円も安いですね。
電話をあまり利用しないなら格安SIMとWiMAXを併用するのがおすすめです。
逆に、電話をよく使うならかけ放題オプションのあるドコモのほうが総合的に安くなります。
ドコモのかけ放題オプション(月1,700円)は誰とでも時間無制限で通話し放題です。
家族以外の通話料は30秒あたり20円なので、1700円分は約43分にあたります。
43分以上の電話をするのであれば、ドコモなど大手キャリアのほうが安上りになる可能性が高いです。
テザリングを使えばルーターとしても使えるので、ドコモを契約するならポケットWi-Fiもいりません。
無料の公衆無線LANを使う方法も
とにかく安く速い通信を使いたいなら無料で使える「公衆無線LAN」を利用するのも手です。
利用できる場所が限られますが、普段からよく利用するコンビニやカフェ、駅などに公衆無線LANがあるならポケットWi-Fiなどを契約しなくても済むでしょう。
ただし、公衆無線LANは不特定多数の人が接続するので速度が不安定なことがありますし、セキュリティ的にもややリスクがあることは覚えておきましょう。
条件によって格安SIMの速度は変わるの?
格安SIMは利用する時間帯で通信速度が変わります。
例えば回線が混雑するお昼は速度が低下しますし、逆に朝方などは回線が空いているので比較的速い速度が出ます。
では、時間帯以外の条件でも格安SIMの速度が変わることはあるのでしょうか?
ここでは、
- 回線の種類(ドコモ・au・ソフトバンク)
- 地域差
- iPhoneとAndroid
の3パターンで速度が変わるかどうかを解説します。
au回線とソフトバンク回線は速いことが多い
格安SIMにはドコモ、au、ソフトバンクの回線を利用したものがあります。
一般的にドコモ回線のものは速度が遅く、au回線とソフトバンク回線のものは速度が速いです。
格安SIMのほとんどはドコモ回線を利用しています。
利用者数が非常に多いため、ドコモ回線は混雑しやすく、速度も低下しやすいです。
一方、au回線とソフトバンク回線を利用する格安SIMは種類が少ないです。
利用者が少なく回線が空いているため、速度が速く安定しています。
ただしドコモ回線でも速い格安SIMはありますし、au回線でも遅い格安SIMもあります。
回線の種類はあくまでも目安の1つにしたほうが良いでしょう。
地域差(田舎と都会)はほとんどない
一般的に田舎は人口が少なく、都会は人口が多いです。
そのため、人口が少ない田舎のほうが都会より速度が出やすいのではないかと思うかもしれません。
しかし実際はあまり変わりません。
多少は田舎の方が都会より速度が速いこともありますが、元々大手キャリアの回線を利用していることに変わりはないので誤差レベルの差です。
田舎でも都会でも速度はほぼ同じです。
ちなみに、格安SIMが通信できるエリアは大手キャリアと変わりません。
iPhoneとAndroidによる差もほとんどない
iPhoneとAndroidにおいても、通信速度の差はあまりありません。
通信速度はあくまでも契約しているキャリアによって違います。
端末によって理論上の最大通信速度が異なることはありますが、格安SIMでそこまでの速度が出ることはまずありません。
使っている格安SIMが同じなら、iPhoneでもAndroidでも通信速度は同じと思ってOKです。
自分の用途に合った通信速度を
今回は格安SIMの速さの目安や、安定した格安SIMを選ぶ方法などを紹介しました。
基本的に格安SIMは大手キャリアより通信速度が遅いです。
しかし実際にスマホを使う際に必要な速度は用途によってまったく違います。
例えば動画を快適に見るなら最低でも中高速(1Mbps~4Mbps)以上の速度が欲しいですし、逆にLINEしか使わないなら低速や中速でもなんとかなります。
必ずしも通信速度が速いほうが良いというわけではなく、「自分がどのようにスマホを使うか?」で適切な速度が変わります。
もちろん速いに越したことはないですが、格安SIMで通信速度を求めると選択肢は限られてしまいます。
かしわ
