- 格安SIMは災害時にもキャリア並みに使える(役立つ)か?
- 緊急地震速報やJアラートなどを格安スマホで受信できるのか?
- 格安SIMでできる災害時に備える方法
格安SIMを使っていて心配なのが、災害が起きた時です。
価格が安く、普段から通信速度が遅いということもあり、
- 災害時もちゃんと繋がるのか?
- 緊急地震速報は受信できる?
- 110番といった緊急通報や災害伝言板は使えるのか
といったことが気になる人も多いでしょう。
そこで、今回は緊急速報への対応や災害時の電話・データ通信が使えるかどうか、災害用伝言板や緊急通報はできるのかなど、格安SIMの災害対策についてまとめました。
かしわ
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格安SIMの災害対策まとめ
今回解説する格安SIMの災害対策を一覧表にまとめました。
項目 | 格安SIMで利用できるか? | |
緊急速報 (地震/津波情報) |
iPhone | ○
iPhone 4s以降
|
Android | △
ETWSに対応している必要がある
|
|
地震/津波以外の緊急速報 (Jアラート、台風情報など) |
iPhone | ○
iPhone 4s以降
|
Android | △
Android 8.1以降かつETWSに対応している必要がある※
|
|
緊急通報 | ○ | |
災害時の電話/データ通信 | ○ | |
災害用伝言版 |
×
(類似サービスで代用可)
|
※一部の機種はAndroid 8.0以前でも受信可能
表を見ると、格安SIMでも大手キャリアと同様に基本的な対策はできていると言えます。
かしわ
では、それぞれについて詳しく解説します。
緊急速報は端末が対応していれば受信可能
よく「格安SIMでは緊急速報が受信できない」という意見を目にしますが、これは間違いです。
大手キャリアか格安SIMかは関係なく、端末が「ETWS」という技術に対応していれば、問題なく緊急速報を受信できます。
ほなみ
大手キャリアの端末はもちろん、SIMフリースマホやSIMロック解除したスマホでもETWSに対応さえしていれば問題なく受信可能です。
ただし、SIMフリースマホはETWSに対応していない端末が多いので注意が必要です。
ちなみに緊急速報はドコモでは「エリアメール」、au/SoftBank/ワイモバイルでは「緊急速報メール」という名称で呼ばれることもあります。
iPhoneの緊急速報の受信条件
iPhoneの場合は4s以降であれば基本的にすべての機種で受信できます。
地震・津波情報はもちろん、Jアラートや台風情報なども受信可能です。
Androidの緊急速報の受信条件
一方、注意が必要なのがAndroidです。
AndroidはETWSに対応していない機種が多いです。
また、ETWSに対応していてもAndroid 8.0より古いOSのスマホではJアラートや自治体の防災情報が受信できません。
ETWSに対応し、なおかつAndroid 8.1以降の端末であれば、すべての緊急速報を受信することが可能です。
かしわ
緊急速報の詳しい条件などはこちらの記事で解説しているので参考にしてください。

緊急速報の代用アプリで対策強化
もし端末が緊急速報に対応していなくても、緊急速報をプッシュ通知してくれるアプリを使って代用することができます。
かしわ
緊急速報を受信できるアプリはいくつか種類がありますが、おすすめは
- Yahoo!防災速報
- ゆれくるコール
両方とも無料でiPhone・Androidのどちらでも利用できます。
Yahoo!防災速報

「Yahoo!防災速報」はYahoo!Japanが提供している総合防災アプリです。
緊急地震速報をはじめ、Jアラートや台風情報、土砂災害や豪雨、熱中症情報など、防災に関するあらゆる情報を網羅しています。
ほかにも避難場所マップや防災コラム、防災グッズの一覧など防災に役立つ情報が満載です。
【防災速報からのお知らせ】
本日、「Yahoo!防災速報」アプリをVer2.2.1にバージョンアップしました。Android版は緊急地震速報の通知デザインを変更しています。
ダウンロード、アップデートはこちら⇒https://t.co/0g1vJ4X21y pic.twitter.com/Fg39fQfRno— Yahoo!天気・災害 (@Yahoo_weather) November 7, 2016
ほなみ
ゆれくるコール

「ゆれくるコール」はその名の通り地震に特化した通知アプリです。
Yahoo!防災速報ほど多機能ではないものの、
- 地震の情報をプッシュ通知
- 地震到達までをカウントダウン
- ユーザーが体感した揺れを投稿し、リアルタイムで共有できる
- 過去の地震を一覧で確認できる
など、地震に関する幅広い情報を入手できます。
枚方市揺れましたー!!一瞬グラっと。
ゆれくるのアプリで事前に分かった!! pic.twitter.com/4fFuZtSWIm
— 裏垢嫁 (@urayome11) November 4, 2018
かしわ
緊急通報は音声通話SIMなら利用可能
災害時に緊急通報(110番・119番)がちゃんと使えるかも心配ですよね。
結論から言うと格安SIMでも問題なく緊急通報を利用できます。
格安SIMにはデータ通信だけができる「データ通信専用SIM」と、電話とデータ通信ができる「音声通話SIM」があります。
このうち、音声通話SIMでは緊急通報が利用可能です。
電話の繋がり具合はキャリアと同等
データ通信は大手キャリアと違って速度が遅くなることもありますが、電話回線は大手キャリアの設備をそのまま利用しているので、大手キャリアと比べてつながりにくいということはありません。
このプレフィックス通話では緊急通報はできないことが多いので注意してください。
ただ、緊急通報は通話料がかからないので、わざわざプレフィックス通話を使う必要はないでしょう。
IP電話は緊急通報ができないが対策可能
格安SIMで緊急通報をする際に注意したいのが「IP電話」をメインで使っているケースです。
通話料も安いので、節約も兼ねてIP電話を使う人が多いです。
電話番号のあるLINEと考えると分かりやすいかもしれません。
IP電話では直接緊急通報することはできません。
110番や119番にかけられないので、データ通信専用SIMでIP電話だけを使っている人は注意が必要です。
本部に直接電話をかけることは可能
IP電話で緊急通報をする場合は、警察署や消防署などの本部に直接電話をかける必要があります。
近くの警察署や消防署の電話番号を調べられる「緊急通報ナビ」というアプリもあるので、IP電話をメインで使う人はぜひインストールしておきましょう。
災害時でも通話やデータ通信はできるが混雑することも
よく災害が起きると「大手キャリアが優先されて格安SIMは繋がりにくくなるのではないか?」と言われます。
しかしMVNOと大手キャリアでは「大手キャリアと同等のものを提供する」という契約がされているので、繋がりにくくなることはありません。
これについては、大手格安SIMの1つである「IIJmio」へのインタビューでも
携帯キャリアとの契約の中で「携帯キャリアと同等のものを提供する」ことになっていますので、MVNOの通信が差別的な扱いを受けることはありません。
という回答がされています。
参考 IIJ堂前氏に聞く「震災時におけるMVNOの実力」ケータイ Watch Watchキャリア関係なく混雑すれば遅くなる
ただし災害時は回線が混雑するため、大手キャリアであっても格安SIMであっても通話やデータ通信がしにくくなる可能性はあります。
一番繋がりやすい回線はドコモ?
なお、国内3キャリアの中で災害時に一番つながりやすいのはドコモと言われています。
過去の災害時の口コミではドコモがつながり、auやソフトバンクが繋がらなかったというものも多いです。
とは言え、災害の状況によっては逆も起こりえます。
災害時はどのキャリアを使っていても繋がりにくくなる可能性が高いです。
災害時のデータ通信対策
データ通信が混雑してしまった時に活用したいのが、誰でも無料で使える公衆無線LAN「00000JAPAN(ファイブゼロ・ジャパン)」です。
00000JAPANは災害が発生したときだけ解放される無線LANで、契約不要で誰でも無料で使えます。
あらかじめ専用アプリをインストールしておけば00000JAPANに自動で接続することもできるので、事前に設定しておきましょう。
00000JAPANの注意点
00000JAPANはフリーWi-Fiなので、誰でもアクセスできます。
そのためセキュリティが弱いと言えます。
情報が盗まれるといったリスクも考慮しましょう。
総務省でも以下のように注意喚起をしています。
参考 00000JAPAN等により無料開放された無線LANの利用について (注意喚起)総務省(前略)緊急時の利便性を優先するため、通信の暗号化等のセキュリティ対策が講じられておらず、通信内容の盗聴や偽のアクセスポイントを用いた情報の窃取が行われるおそれがあります。そのため、個人情報等の入力は極力避けていただくよう、ご注意をお願いします。
かしわ
接続アプリは「ギガぞう」がおすすめ

Wi-Fi接続アプリはいろいろありますが、「ギガぞう」では無料プランでも通信を保護しながら00000JAPANに接続できます。
フリーWi-Fiはセキュリティに不安な面もありますからありがたいですね。
参考 災害時にも安全にWi-Fiをご利用いただくために「00000JAPAN」利用時におけるVPN接続機能を無償提供株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス災害用伝言板は類似サービスで代用可能
「災害用伝言板」は被災した人が自分の安否を家族に知らせたり、逆に家族の安否情報を確認したりすることができるサービスです。
災害時には電話やメールなどがつながりにくくなるので、安否情報を素早く伝えるために伝言板はかかせません。
しかし、災害用伝言板は大手キャリアとソフトバンクのサブブランドであるワイモバイルの4社でしか使えません。
かしわ
災害用伝言板サービス「web171/171」

災害用伝言板の類似サービスの1つが、NTT東日本が提供している「災害用伝言板(web171)」です。
機能的にはキャリアの災害用伝言板と同じですが、こちらはキャリアに関係なく無料で利用できます。
もちろん、web171は格安SIM利用者も使えます。
災害用伝言板(web171)の音声版ともいえる「災害用伝言ダイヤル(171)」を使うのも良いでしょう。
こちらは音声を録音して残すことが可能です。
災害用伝言(web171)、災害用伝言ダイヤル(171)はともに災害時しか利用できませんが、普段から体験利用することができます。
あらかじめ操作方法や使い方を学んでおくと良いでしょう。
災害時の情報収集は「ワンセグ」と「radiko.jp」がおすすめ
災害時には情報収集が欠かせません。
TwitterなどのSNSを活用するのも良いですが、SNSの場合はデマや不正確な情報が出回ることが多いです。
正確な情報をスマホで収集したい場合は「ワンセグ」と「radiko.jp」がおすすめです。
ワンセグはいつでもTV視聴できる
ワンセグはスマホ/携帯でテレビが見られるサービスです。
ワンセグの視聴はキャリア契約とは関係なくできるので、電話やネットが使えなくてもワンセグでニュース番組を見て情報を収集できます。
災害時に強いスマホと言えるので、ワンセグ対応の端末を選ぶのも災害対策のひとつになるでしょう。
ただしSIMフリースマホでワンセグが見られる機種はほとんどないので注意が必要です。
ワンセグ対応のおすすめスマホ端末
格安SIMでセット購入できるワンセグ対応のスマホは「AQUOS R compact」がおすすめです。
国内スマホで防水防塵もバッチリなので、災害時に強い頑丈さも備えていますよ。

富士通の「arrows M03」や「arrows M04」もワンセグ対応ですが、OSがAndroid 8.0以前のため緊急速報を受信できない可能性が高いです。
もしarrows M03/M04のスマホを使う場合は緊急速報の代わりになる代用アプリをインストールしておきましょう。
ラジオの代わりになるradiko.jp
radiko.jpはパソコンやスマホでラジオが聞けるサービスです。
ラジオを持っていなくても、アプリをインストールしておけばスマホでラジオを聴くことができます。
GPSの精度は端末による
災害時にはGPSで位置情報を確認することもあると思います。
格安SIMでもGPSがちゃんと使える心配な人もいるかもしれません。
しかしGPSの精度は端末に依存するので、大手キャリアでも格安SIMでも差はありません。
最近では低価格のSIMフリースマホでもGPSの精度が向上しています。
そのため格安SIMでも問題なくGPSを使えるので安心してください。
災害時には臨時サポートをしてくれるMVNOもある
大手キャリアは災害が発生するとデータ通信を無制限に使えるようになるなどの救済措置や臨時のサポートをしてくれます。
一方、格安SIMの場合はあくまでも回線をレンタルしている側なので、なかなか臨時のサポートをしてくれるところは少ないです。
しかし中には災害時に臨時サポートをしてくれる格安SIMもあります。
例えば IIJmio は2016年の熊本地震の際に2GBのデータ容量の無償提供と、IIJmioが使えなかった期間の利用料金の免除を実施していました。
参考 平成28年熊本県熊本地方の地震に係る災害救助法の適用地域にお住まいのお客様に対するサービス利用料金の措置についてIIJmioまた、 mineo(マイネオ) では義援金の受付や2GBのデータ容量の無償提供を実施していました。
参考 【熊本地震被災者支援】義援金受付開始と被災地のmineoご利用者へ2GB無償提供マイネ王他にも NifMo(ニフモ) や OCNモバイルONE といった格安SIMも料金を免除および支払い期限の延長といった措置を行っていました。
参考 平成28年(2016年)熊本地震における料金の減免について@nifty 参考 平成28年熊本地震に係る災害救助法の適用地域における個人向けOCNサービスの支援措置についてOCNこうしてみると、大手の格安SIMでは災害時の臨時サポートを実施しているところが多かったです。
やはり資金力に余裕のある大手の方がサポートを受けやすいようですね。
かしわ
災害に強いMVNOは?
格安SIMはたくさんの種類がありますが、その中でも以下の2つは比較的災害に強いと言われています。
一般的な格安SIMは基地局を1つしか持っていません。
それに対して、「IIJmio」と「OCNモバイルONE」は基地局を2つ持っています。
仮に1つの基地局がダメになってももう1つの基地局があればサービスは継続されるため、基地局が1つしかない格安SIMより安心です。
また、IIJmioは災害に関するさまざまな情報を公式Twitterや公式ブログ「てくろぐ」で公開しています。
MVNO自ら情報を公開してくれるのは心強いですね。
IIJmioとOCNモバイルONEであっても、災害時でも絶対安全とは言い切れないので、日ごろからしっかり対策しておくのが大事です。
まとめ|事前の防災対策が大事
今回は格安SIMの災害対策についてまとめました。
格安SIMはコストを削減して安い月額料金を実現しています。
そのため、大手キャリアと比べると災害時に弱いのではないか?という印象を持っている人も多いでしょう。
確かに格安SIMでは緊急通報を受信できないことが多いですし、災害用伝言板が使えないなど大手キャリアに劣るところもあります。
しかし大手キャリアにしかなかったり、手持ちの端末では対応していなかったりするサービス・機能でも類似サービスや代替手段はあります。
事前にできること・できないことを把握し、しっかり対策をとることが大事です。
スマホ以外の災害対策も重要!
また、スマホ以外の災害対策も大切です。
スマホはあくまでも災害時の対策の1つに過ぎません。
ほなみ
電気が止まれば充電が切れることも考えられます。
かしわ